熊本
故郷の風景 2009.4.22
仕事で熊本に行く機会があった。ひさしぶりの故郷だ。生まれは茨城県日立市なのだが、両親が九州出身ということで、子供頃、夏休みの帰省と言えば、それは熊本と鹿児島だった。
熊本市から車で1時間半。人吉という盆地の中の小さな街。戦後の混乱期、女手ひとつで4人を育てた祖母が営んだ陶器屋がある。そして、100年くらいたっていそうな古いお堂のある寺に我が家の墓がある。ひさびさの墓参りだった。
まわりには、祖母によく連れていってもらった『元湯』という小さな温泉の建物。城壁の一部だけが残る人吉城。よくここで湯につかったあと、屋台のイカ焼きを買ってもらって、食べながら帰ったっけ。いつもそれは夏だったから、あたりじゅうに蝉の声が響き重なっていた。あの頃はもっと世界が広かった。温泉からの帰り道だけで、ちょっとした冒険だった・・・
「思い出は美しい」というが、こうやって久々に訪れた故郷の風景は、まるでミニチュア化してしまったかのようで、それはたぶん街が変わったのではなく、自分が新鮮に感動する心をすり減らしてしまったからなのかも、と少し悲しい気持ちになった。
すべては通り過ぎていく。自分自身も。時の刻みを噛みしめ、もっといろいろなことに心を触れさせながら生きていきたい、そんなふうに改めて思った。

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